春分を迎え、
ようやく空気にもやわらかなぬくもりが
感じられるようになりました。
季節はたしかに進み、
光の色が変わり、
風の香りがやさしくなっていることを
感じます。
日常のあわただしさの中で
ふと足を止めたくなるような
美しい春の入り口です。
先日、息子家族と娘家族のお引越しが重なり、
孫娘たちと過ごす日々が続いておりました。
その合間をぬって
夫と河津桜を見に出かけました。
早咲のその桜はすでに満開を過ぎた頃でしたが、
ほんのりと色づいたピンク色の花びらが
春を告げ、
やさしく心をほどいてくれるようでした。
静かな時間の中で、ただ桜を見上げる。
それだけで
日常の喧騒がすっと遠のいていく気がしました。
春は
心が浮き立つ季節でもありますが、
なぜか毎年この時期になると
胸の奥が少しざわつくような不思議な感覚が
あります。
何かが始まりそうで
何かを見送るようでもあり…。
ソメイヨシノの開花を待ちながら
季節の美しさに期待する一方で
見えない未来への不安や変わりゆく日々への戸惑いがないわけではありません。
それでも桜は何も言わず、ただそこに咲く。
そんな姿に少し背中を押されるような気持ちにも
なります。
今年もまた桜の季節が巡ってきました。
移ろう日々の中で少し立ち止まり、
心を整える時間の尊さをあらためて感じています。
春はまだ始まったばかり。
花が咲くように
心にもやわらかな光が差し込むことを信じ、
この季節を大切に過ごしていきたいと思います。

