「STILL ALIVE」
STILL ALIVE_ 今、を生き抜くアートのちから
この度の
国際芸術祭
「あいち2022」では、
世界で疫病、自然災害、戦争などが続く
今の時代を
アートは何ができるのか、
生きるとは何か、といった
根源的な問いを
ともに考えるというコンセプトで
開催されています。
主な会場は、
愛知芸術文化センター、
一宮市、常滑市、有松地区の4会場。
先日、私は、この中から
有松地区の方へと出かけました。
有松会場を選んだのは、
はじめは、美術展の内容というよりも
浴衣などで有名な有松・鳴海絞りの名産地を訪ね、
浮世絵を思わせる街並みを
見てみたいと思ったからです。
しかし、そこには、
驚きと
私にとって初めて触れる芸術が
待っていました。
まず、
有松地区の中でも
一際目を惹く存在の
竹田家住宅に入ってみましょう。
こちらは、
この期間中、開放されていますが、
普段は目にすることができない住宅です。
竹田家は、
今から400年前の江戸時代、
有松・鳴海絞りの開祖とよばれる
竹田庄九郎のながれをくむ商家。
今も一族の方が営んでおられます。
竹田家に入って
まず目に飛び込んできたのは、
玄関正面に飾られている
有松・鳴海絞りの豪華な打ち掛け
渋い紅は、時代を彷彿とさせ、
絞りの歴史を垣間見たようでした。
なかに進みます。
古き良き時代を
思う
ダイニングテーブル
大正ガラスに揺れる先は、
立派な手水舎。
その向こうには
由緒正しきお茶室が見えます。
茶室
裁松庵は、
徳川14代将軍・徳川家持も立ち寄ったとされます。
このような有松の歴史的な住宅での
現代アートの展示、
その一部をご紹介いたします。
《見られている》
プリンツ・ゴラーム
なんだ、これは!
竹田家住宅の壁や欄間には、
奇妙で不気味にも見える作品が
いくつも点在します。
しかし、
不思議なことに、
一つ一つ鑑賞しているうちに
私はわずかながらも
気持ちが動く感触を覚えました。
仮面とマスク
仮面
古代から宗教的な儀式や祭祀、
演劇、舞踏会、呪術的な目的などで用いられ
着用する人物の人格を変貌させたり
匿名的な存在に変化させたりしてきた。
マスク
とりわけコロナ禍からは、感染予防のための
大切なアイテムとして
衛生上の用途で使用される。
しかしながら、
人間の顔や表情を覆い隠すことになり、
そのため
仮面と同等の要素を持つ側面もある。
(説明書抜粋)
プリンツ・ゴラーム
仮面と
パフォーマンス・セッション
多くは語るすべを知りません。
芸術作品ゆえ、
それぞれに多様に考えるものと思います。
受け継がれてきた伝統的な手工芸品、
有松・鳴海絞りの
歴史的な住宅の和室にて
繰り広げられる現代アートに触れ、
テーマである
「STILL ALIVE」の文字を
あらためて考えさせられるに相当する
ものだと思う
充実した時間を持ちました。
ー8月或る日ー
STILL ALIVE
国際芸術祭
あいち2022
2022.7.30ー10.10
テーマの「STILL ALIVE」は、
愛知県出身で世界的な現代アーティストの
河原温(1932〜2014)が
1970年以降、I AM STILL ALIVEと書かれた電報を約900通、
世界各地の知人へ送った作品から
着想を得ている。